ここでは、脳卒中の種類と治療方針、脳卒中の症状、脳卒中の検査、具体的なリハビリ内容を解説いたします。
脳卒中(脳梗塞・脳出血)と治療方針
脳卒中(脳血管障害・脳血管疾患)は、いくつかの種類にわけられます。
大きくは、「脳の血管が破れるタイプ」と「脳の血管が詰まるタイプ」にわけられます。
この2つのタイプは、治療方針や予防が異なります。
脳卒中のタイプ | 疾患名 | 治療 | 予防 |
---|---|---|---|
脳の血管が破れるタイプ | 脳出血 など | 出血をとめる | 血管の負担を減らす |
脳の血管が詰まるタイプ | 脳梗塞 など | 血の塊をとかす | 血流を良くする |
このように、同じ脳卒中でも、治療や予防は大きく異なります。
脳卒中と症状の関係【脳梗塞は軽いのに、後遺症は重い】
脳卒中を知ることで、医師の説明が理解できます。
医師の説明時に、こんな事を言われた経験は、ありませんか?
軽い脳梗塞ですね。
良かった、軽いんだ。
そう思ったのに、手の麻痺は重くて、自分で動かせない。
あれ、手が動かない。
軽かったんじゃないの?!
実は、「脳梗塞は軽いけど、後遺症は重い」ことがあります。
これは、医師の認識と、当事者の認識の違いから生じるギャップが原因です。
医師の認識の理由
例えば、脳梗塞の中の、ラクナ梗塞は小さい血管が詰まることを指すので、脳梗塞としては軽い分類(=手術等の緊急治療を行うことがほとんどない)です。
そのため、命に別状がないことがほとんどです。
この命に別状がないことが、医師から「軽い」と判断される理由です。
ただ、医師の言っていることが間違っているわけではありません。
なぜなら、医師の大きな役割は、「命」を救うことだからです。
医師は「命」を救うという視点でみているため、「脳梗塞は軽いですね(命に別状はないですね)」という表現になるのです。
当事者側が気になること
当事者の気持ちもすごく理解できます。
当事者とすれば、命に別状はないのは分かった上で、次は日常生活や仕事に復帰出来るかが気になります。
医師と当事者のギャップの理由
先ほどのラクナ梗塞であっても、脳の中の重要な小さい血管が詰まれば、後遺症が出ます。
例えば、手足の運動に関係する血管が詰まった場合には、重い手足の麻痺が残るのです。
ここが、医師の説明と後遺症にギャップが生じる理由です。
そこでオススメなのが、命に別状がないことが分かった時点で、後遺症についても確認することです。
下のような感じで聞いてみましょう。
「脳梗塞が軽くて一安心しました。ところで、後遺症は残りますか?その後遺症は重いですか?」
そうすることで、今後の生活や仕事への見通しを知ることができます。
この件については、You Tubeで音声解説しています↓
続いて、後遺症を把握するための、脳画像検査(CT・MRI)について解説します。
脳卒中の後遺症を把握するための脳画像検査(CT・MRI)
脳卒中は、脳の血管が原因で生じます。
そのため、出ている症状は、脳を見ることで説明できます。
脳を見る方法には、CTやMRIがあります。
医学は日々進歩していますので、脳のCTやMRIを見ることで、症状の理由はある程度説明できます。
先程の例でいくと、ラクナ梗塞だけど、手の運動に関係する脳の領域が詰まっているから、手の麻痺は残るかもしれない、となるわけです。
この部分は、医師や理学療法士らの専門家に確認するのをオススメします。
可能であれば、入院中に、医師や理学療法士に聞いてみましょう!
少なくとも、脳CTやMRIのデータはスマホで撮影(医師の許可を得て)するなどして、手元に持っておきましょう。
なお、リハフィットには脳画像に詳しい理学療法士が在籍しておりますので、データがあれば必ずお持ちください。
脳卒中の後遺症に対する選択肢
脳卒中の治療は、脳卒中そのものに対する治療と、後遺症に対するものにわかれます。
脳卒中そのものに対する治療は、内服と手術です。
後遺症に対するものは、リハビリ等になります。
現在、後遺症に対するものとして挙げられるのは、
リハビリ(運動療法・促通反復療法)
装具療法
電気療法
振動療法
ボトックス
再生医療
ロボット
rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)
等々、たくさんの種類があります。
これらの治療は、複数組み合わせることで、効果が高まります。
この組み合わせのベースとなるのは、リハビリ(運動療法・促通反復療法)です。
◯装具×リハビリ→装具を併用しながら歩行練習
◯電気×リハビリ→促通反復療法時に、電気刺激を併用する。
◯再生×リハビリ→再生医療を施行した後、リハビリを強化する。
以上のように、脳卒中の後遺症を改善する上で、「リハビリ」は欠かすことができません。
続いては、リハビリについて説明します。
具体的なリハビリ
脳梗塞の後遺症である、麻痺に対する具体的なリハビリは、以下の4つに分類されます。
ストレッチ・リラクセーション
筋肉や関節を動きやすい状態に整えることを目的に、硬い筋肉をほぐしたり、伸ばしたりします。
同じ姿勢や歩行を続けていることで、一部の筋肉が硬くなっているケースは良くあります。
その場合は、筋肉が柔らかくなるだけで、動きが改善することもあります。
促通手技
麻痺している手足の動きを向上させるための方法は、「促通」と言われます。
「促通」は、麻痺している手足の回復を促します。
簡単に表現すると、「麻痺の回復促進トレーニング」です。
この「促通」には、多くの種類があります。
「ボバースコンセプト」「促通反復療法(川平法)」「PNF」「認知運動療法」、などです。
※リハフィットでは、主な促通法として促通反復療法(川平法)を、用いています。
座る練習・立つ練習
座る・立つなどの動作の練習です。
動作ができるようになるには、目的とする動作の練習が必要とされています。
これを、専門用語では「課題指向型アプローチ」と言います。
麻痺の改善ができなくても、動作は出来るようになる場合があります。
歩行練習
歩く練習です。
一言に「歩く練習」と言っても、様々な意見があります。
例えば、体重をかける足を考えてみます。
「麻痺側に体重をかける」
「麻痺していない側に体重をかける」
恐らく、多くの方は「麻痺側」を鍛える目的で、「麻痺側」に体重をかける練習をしてきたのではないでしょうか?
実は、「麻痺していない側」に体重をかけることで、「スイスイ楽に歩くこと」が可能となる場合があります。
このように、「歩く」を一つとっても、脳卒中リハビリの専門家からみると、色々な視点があります。
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の方へのまとめ
脳卒中に対する治療が落ち着いたら、後遺症に対するリハビリがメインとなります。
リハビリは、精神的にも、肉体的にも、大変なこともあります。
この大変なリハビリを一緒に寄り添える理学療法士が、リハフィットには在籍しておりますので、まずはご相談ください。