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【理学療法士が解説】コルセットをつけると筋力低下するのは本当?

【理学療法士が解説】コルセットをつけると筋力低下するのは本当?
目次

【理学療法士が解説】コルセットをつけると筋力低下するのは本当?

こんにちは!
いつもご覧いただき、ありがとうございます。

腰の痛みがあって、医師にコルセットを処方していただきました。

コルセットをつけると筋力が低下するって聞いたんだけど、できるだけつけない方が良いの?

この疑問を解決します。

  • 本記事の内容

・コルセットをつけると筋力低下すると思われる理由
・コルセットをつけてる時の筋活動に関する論文
・そもそも、腰痛にコルセットは有効なの?

本記事を読むことで、コルセットをつけると筋力低下が起きるのかが理解できます。

センター長

2分で読めるので、コルセットによる筋力低下が気になる方は、最後まで読んでみてください。

コルセットをつけると筋力低下すると思われる理由

コルセットと筋力低下

「コルセットをつけると筋力が落ちるので、しっかり筋力をつけないと腰痛はいつまでも良くなりませんよ!」

コルセットで筋力低下するというコメントは、一般の方だけでなく、医療従事者からもよく聞きます。

では、なぜコルセットによって筋力低下すると考えられているのでしょうか?

色々な理由がありますが、「コルセット=安静」理論と、「コルセットに寄りかかる」理論が有力です。

前者の「コルセット=安静」理論では、コルセットをつけている状態は安静のイメージからきているようです。

安静にすると、筋力低下は起きますが、コルセットのせいではありません。

後者の「コルセットに寄りかかる」理論では、コルセットを使うことで体幹の筋力が働くなくなって、筋力低下が起きるという理論です。

こちらは実際に、コルセットをつけると筋肉の活動が起きないのかを論文からみていくことで、正しいかを考えてみたいと思います。

コルセットをつけてる時の筋活動に関する論文

コルセットをつけた状態での筋活動に関する論文を、ここでは3つ紹介します。

コルセットを装着して体幹筋の活動を見た論文 ①

コルセットをつけた状態とはずした状態で、運動をしてもらい、その際の体幹筋の活動を確認しています。

運動は、「お尻上げ(ブリッジ)」「四つ這いでの対側手足挙上(バードドッグ)」「足上げ」の3種類です。

結果は、バードドッグと足上げの一部で、内腹斜筋や腹直筋の活動が、コルセットをつけてる方が低値であったとのことです。

一方、コルセットをつけている状態でも、コルセットなしと変わらない筋の活動がみられたものもありました。

この論文から分かるのは、コルセットをつけると一部筋活動は下がるけど、0にはならないし、下がらない運動もある、です。

末廣 忠延,渡邉 進 . 腰部安定化運動においてコルセット装着の有無が体幹筋活動に及ぼす影響 : 理学療法科学 27(3) : 309–313 . 2012.

コルセットを装着して体幹筋の活動を見た論文 ②

コルセットと筋力

2種類のコルセットをつけた状態とはずした状態で、前屈後屈を行ってもらい、体幹筋の活動を確認した論文です。

立っている状態では、コルセットの有無に関わらず、筋活動はいずれも少なかったようです。

一方、前屈時には、コルセットなしとありでは筋活動が変わりました。

コルセットなしで前屈すると、前屈するときに、腰の筋の活動が高まりました。

コルセットありで前屈すると、前屈時には筋の活動は少なかったものの、前屈位で姿勢を保持することで、腹筋の活動が高まったのです。

考察では、この理由をコルセットによる圧迫感痛みによるものと予測しています。

この論文からは、運動方向や装着方法によっては、コルセットなしよりもコルセットありの方が、筋活動が高まる可能性(良くも悪くも)が読み取れます。

小林正典 .腰部コルセット装着の腰背筋群の筋力への影響に関する形状記憶合金入りコルセットを用いた実験と考察 大同大学紀要 第 50 巻(2014)59-64 .

コルセットを装着して体幹筋の活動を見た論文 ③

コルセットの有無での運動時に、体幹の筋の活動が変化するかを調べた研究をまとめた論文です。(システマティックレビューといいます)

具体的には、リフティング動作を、コルセットのありとなしで実施して、そのときの体幹の動きと筋の活動をみています。

結果は、コルセットがあると、体幹の動きが制限されることが分かりました。

一方、コルセットがあっても、体幹の筋活動は低値にならなかったようです。

この論文からは、コルセットによって、体幹の動きに制限は出るけど、筋の活動は変わらないことが分かります。

M N van Poppel , M P de Looze , et al . Mechanisms of action of lumbar supports: a systematic review . Spine, 2000, 25(16): 2103-2113.

論文からのまとめ

以上3つの論文から、コルセットをつけるから体幹の筋の活動が下がって、筋力低下が起きる、とは言えないと思います。

むしろ、コルセットをつけても適切な運動を行えば、筋力はじゅうぶんに維持できる可能性があります。

一方、付け方によっては不快で過剰な筋の活動を生じさせてしまうので、付け方には十分注意しましょう。

そもそも、腰痛にコルセットは有効なの?

コルセットと腰痛

最後に、腰痛に対してコルセットが有効なのかを解説します。

臨床の経験から、「腰痛の原因によっては、コルセットは痛みの軽減に有効」と考えます。

また、腰痛診療ガイドライン2019では、コルセットや腰椎サポートは、使用することを弱く推奨されています。

ガイドラインでは、コルセットによって痛みが減ったとの報告がある一方、変化がなかった報告もあるため、一定の見解がなされてないので、弱い推奨となっています。

しかし、原因を確認した上でのコルセットの使用は、腰痛軽減に一定の効果はあると思いますので、専門家に一度ご相談ください。

日本整形外科学会診療ガイドライン委員会 腰痛診療ガイドライン策定委員会 . 腰痛診療ガイドライン2019.

まとめ

  • コルセットをつけても体幹の筋活動はみとめられる
  • 腰痛の原因に合わせてコルセットの使用は有効
  • コルセットによる筋力低下は気にしなくてもOK

腰痛に対するリハビリ体験

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