【重要】脳卒中で入院した後、急性期リハビリって何をするの?
こんにちは!
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
夫が昨日、脳卒中で入院しました。
明日からリハビリが始まるとのことで、病院から靴を持って来るように言われました。
入院直後から、どんなリハビリをするのですか?
この疑問を解決します。
- 本記事の内容
・急性期リハビリとは
・急性期リハビリの目的
・具体的なリハビリ内容
本記事を読むことで、脳卒中の急性期リハビリの内容が理解できます。
5分で読めるので、脳卒中後の急性期リハビリについて知りたい方は、最後まで読んでみてください。
急性期リハビリとは
急性期とは、脳卒中を発症した直後の時期のことを指します。
発症から、1ヶ月くらいまでは急性期とすることが多いです。
また、救急車で運ばれた直後の数時間〜2日以内くらいを、「超急性期」と呼ぶこともあります。
ここでは、「急性期」は発症から1ヶ月くらいだと考えてもらえればOKです。
この時期に行うリハビリを、「急性期リハビリ」と言います。
リハビリを行う場所は各病院や脳卒中の病状によって違いますが、「集中治療室」や「病室のベッド上」、「病棟」、「リハビリ室」など多岐に渡ります。
そのため、一般的なイメージのリハビリ室でのリハビリとは少し異なります。
もう一つの特徴は、リハビリ以外の治療も並行して行われていることです。
点滴やバルーン(尿を排出する管)が入っていることも多く、治療をしながらリハビリを実施します。
重症な方であれば、人工呼吸器が装着された状態で、リハビリすることもあります。
そのような方であれば、療法士が一人でリハビリするのには手が足りないこともあり、看護師等が点滴管理や介助をサポートしてくれます。
続いて、この時期に行うリハビリの目的をみていきます。
急性期リハビリの目的
急性期リハビリの目的には、大きく2つあります。
① 廃用症候群を予防する、② 日常生活を再獲得する、ことです。
詳しくみていきましょう。
① 廃用症候群を予防する
廃用症候群とは、過度の安静や活動性が低下したことで身体に生じた様々な状態を指します。
ちょっと分かりづらいですよね。
身近な例で考えてみます。
こんな経験をしたことはありませんか?
これは、風邪でほとんど動かなかったことによって、筋力が低下したり、心肺機能が衰えたことが原因です。
この例のように、過度な安静や活動性が低下したことで、筋力や心肺機能が衰えたことを、「廃用症候群」と呼びます。
では、脳卒中を発症すると、どうなるでしょうか?
脳卒中を発症すると、点滴などで治療をしているため、ベッド上で過ごす時間が長くなります。
そうです、「廃用症候群」が引き起こされやすい状態となります。
麻痺していない側の手足も衰えてしまうイメージです。
この「廃用症候群」を予防するのが、急性期リハビリの目的の一つです。
② 日常生活を再獲得する
脳卒中を発症すると、意識障害や運動麻痺、高次脳機能障害によって、一時的であっても日常生活に介助が必要な状態となります。
特に、脳卒中は予兆なく発症する場合も多いため、「今ままで仕事を含めた日常生活に全く問題がなかった」のに、ある日突然、「自分一人では日常生活が送れない」状態となります。
この状態から、日常生活の自立を目指すのが、急性期リハビリの2つ目の目的となります。
日常生活自立を目指して急性期リハビリを行った方は、大きく2つのパターンにわけられます。
そのまま自宅へ退院するパターンと、回復期リハビリ病院を経由するパターンです。
熊本県で9年間の脳卒中患者20,758 例を対象にした報告によると、71.5%が回復期リハビリ病院に転院しています。
逆に言うと、約30%の脳卒中患者は、最初に入院した病院からそのまま退院していることになります。
この30%の方は、基本的には日常生活がある程度自立した方です。
大雑把にまとめると、脳卒中後遺症の重症度と急性期リハビリによって、日常生活が自立した方は退院して、自立が難しかった方は回復期リハビリ病院に転院していると言えます。
具体的なリハビリ内容
最後に、具体的なリハビリ内容をご紹介します。
先ほど説明した目的に応じて、リハビリが提供されています。
主には①離床と、②日常生活練習、です。
① 離床
離床とは、床から離れると書くように、寝たきり状態から活動していく一連の流れを指します。
先ほどの目的で挙げた「廃用症候群」を予防するためです。
脳卒中の急性期リハビリでは、離床に代表されるように、まずは身体を起こすところから始まります。
と言っても、急に起こすわけではありません。
脳卒中を発症した直後は、頭痛があったり、血圧が安定しません。
そのため、血圧などを確認しながら慎重に身体を起こしていきます。
- ベッドの頭側を上げる(ベッドアップ)
- ベッド上に座る(端座位)
- 車椅子に座る
- 立ち上がる
以上のようなことを状態を確認しながら徐々に行っていきます。
② 日常生活練習
日常生活を再獲得するために、必要な動きを練習します。
日常生活と言っても、たくさんの項目があります。
- 食事
- 整容
- トイレ
- シャワー・入浴
- 歩行
これらを段階的に練習していきます。
練習方法は、実際にその動作を練習する場合と、その動作に必要な動きを練習する場合があります。
少しわかりにくいですよね。
具体的には、トイレが出来ないとします。
実際にトイレを練習する場合と、トイレの便座に座れない(座位がとれない)から、ベッドで座る練習をする場合があるということです。
いずれもトイレ動作ができるようにリハビリしているのですが、そのプロセスが異なるわけです。
各生活動作によって、専門職によるリハビリが行われるのも特徴です。
例えば…
飲み込みができない → 言語聴覚士(ST)
手の麻痺で食事がとれない → 作業療法士(OT)
足の麻痺で歩けない → 理学療法士(PT)
この中でも、自宅に退院できるかの境界線となるのが、「歩行」です。
また、重度の後遺症が残った方は、「飲み込み」が出来るかが、回復への重要なポイントとなります。
以上のように、それぞれのリハビリ職種と日常生活の再獲得へ向け、リハビリをおこなっていきます。
まとめ
本記事では、脳卒中発症後の急性期リハビリについて、解説しました。
- 脳卒中を発症した直後から1ヶ月くらいのリハビリを急性期リハビリと呼ぶ
- 急性期リハビリの目的は、①廃用症候群を予防する、②日常生活を再獲得する、です。
- 急性期リハビリの内容は、①離床、②日常生活練習、です。
退院後の状態に影響を与える重要な時期です。
可能な範囲で急性期リハビリをしっかりと行ってくださいね。
「急性期リハビリではしっかり出来なかったな…」
そのような後悔がある方は、一度当センターをご利用ください。
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<参考文献>
本田 省二 , 他:脳卒中の病型ごとの急性期から回復期までの実態調査─熊本脳卒中地域連携パスの 9 年間のデータを用いて─.脳卒中 2018.40 : 343–349.
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