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身近な人が高次脳機能障害を抱えたときの対応の仕方

身近な人が高次脳機能障害を抱えたときの対応の仕方
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身近な人が高次脳機能障害を抱えたときの対応の仕方

こんにちは!
いつもご覧いただき、ありがとうございます。

主人が脳梗塞後に退院して自宅に帰ってきました。

高次脳機能障害があるみたいで、日常生活が思ったようにできず、つい言い合いになってしまいます。

怒る人ではなかったのですが…

どのように対応すれば良いのでしょうか?

この疑問を解決します。

  • 本記事の内容

・高次脳機能障害の症状と対応
・高次脳機能障害になった後の感じ方(「脳が壊れた」より)

本記事を読むことで、高次脳機能障害を抱えた方がどう感じるかが理解できます。

センター長

3分で読めるので、身近な人に高次脳機能障害を抱える人がいる方は、最後まで読んでみてください。

高次脳機能障害の症状と対応

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、脳卒中や事故などによって、脳が損傷を受けて脳機能が低下し、損傷前にはみられなかった言動をする状態です。

高次脳機能障害は、「目に見えない」症状とも言われ、周りの人にとって非常に理解し難いです。

症状の程度も、人それぞれのため、調べたり勉強したことがそのまま活かせるわけではありません。

特に、多くの人にとって、「言葉で説明する」ことが難しい状態となりやすいです。

例え言語に関わる脳の部位が直接損傷を受けていなくても、「注意機能」や「遂行機能」、「記憶機能」など複合的な問題で、「言葉で説明する」ことが極めて困難となります。(言葉で説明していても、その言葉は本当にご本人が言いたいことではない場合があります

言葉で説明できないことが、周りのご家族などから理解され辛く、ご本人が孤独に感じやすい理由ともなっています。

本当に愛を持って支えているご夫婦やご家族であっても、時にはこのような言葉が出てしまいます。

「この前も言ったでしょ?!」
「どうして言ったことが出来ないの?!」


ご家族がご本人を支えている姿を見ているからこそ、より感じますが、きっとこの言葉を言いたいわけじゃないのです。

何とか、ご本人が少しでも良くなるよう、一生懸命に支えた結果の、ご本人の思いや考えとは少しばかりすれ違ってしまったときに出てしまうのだと思います。

この「言葉で説明する」ことを、ライターで脳卒中を発症した鈴木大介さんが著書「脳が壊れた」で自身の体験を言語化してくれていますので、その中から3つ、ご紹介したいと思います。

高次脳機能障害になった後の感じ方

高次脳機能障害の感情失禁

鈴木さんは、高次脳機能障害の中で、「注意障害」「感情失禁」「半側空間無視」「神経疲労」「遂行機能障害」の様な症状を呈しています。

著書「脳が壊れた」の中から、実際に悩むことの多い3つの事例を紹介します。

① 言葉に出来ない苦しみ

鈴木さんは、言葉に出来ない苦しみを、以下のように記しています。

言語化や文字を書くことを仕事としていて、自身の障害探しを自分に課している僕ですらこうなのだから、そうでない高次脳機能障害者の多くはこの不自由感やつらさを言葉にすることもできず自分の中に封じ込めてただただ我慢しているのかもしれない。
それは高次脳と症状の出かたが酷似している発達障害や精神疾患などの患者も同様だろう。
だとすれば、世の中にはいったいどれほどの数の、「言葉も出ずに苦しんでいる」人々がいるのだろう。
不自由なのに、やりたくてもやれないのに、分かってもらえない。それを言葉にすることもできないとき、まず当事者の中に湧き出す感情は苛立ちだ。
それで周囲の人に八つ当たりでもしてしまえば、次はそんな自分に対する自己嫌悪が後味悪く残る。

鈴木 大介 著:脳が壊れた . 新潮新書

先述したように、鈴木さんの高次脳機能障害の中には、「失語症(言葉が話せなかったり、理解できない)」は(恐らく)ありません。

それにも関わらず、不自由感やつらさを言葉にすることもできず、ただただ我慢しているというのです。

医師や療法士から、「失語症」と聞いているご家族は、言葉の不自由さを理解しようとします。

一方、失語症の診断がなければ、言葉は問題ないと思ってしまいがちです。

本当は、言葉にする難しさや辛さが隠れているのです。

② 退院後が最も苦しい

退院後の苦しさについて、鈴木さんは著書「脳が壊れた」の中で以下のように記しています。

(前略)僕が今回の脳梗塞で最も苦しんだのは、退院をして自宅に戻ってからだ。

第一に、相変わらずこの世に生きているという現実感がない。

鈴木 大介 著:脳が壊れた . 新潮新書

脳梗塞を発症した後、急性期の病院、リハビリ病院を経て、ご自宅に退院。

急性期の病院やリハビリ病院での生活は、相当に苦しいものです。

それにも関わらず、鈴木さんは、最も苦しんだのは退院をして自宅に戻ってからだと言うのです。

リハビリ病院でのリハビリでは、自宅での生活を想定して、本当に様々なリハビリが行われます。

退院後にできるだけ不自由がないように。

それでも、リハビリ室内でのリハビリには限界があります。

特に、高次脳機能障害を抱える方にとっては、病院から一歩外に踏み出すと、初めての課題に戸惑ってしまいます。

その戸惑っている課題に、どう感じたかを一つ一つ、ぜひ聞いてください。


「自宅に帰れたんだから、病院よりは良いでしょ?」

もちろん、ご家族と過ごせるのは、良いかもしれません。

ただ、そう聞かれると、「病院が良い」なんて、サポートしてくれる家族に言えない気持ちも理解してあげて欲しいなと思います。(言えても、後味が悪いです)

当事者は、ご家族と過ごせて、サポートしてもらえるのを、心の底から感謝していると思います。

ただ、病院に入院中よりも、退院後、なんとも苦しい。

これも事実なのです。

③ 周囲の人が出来ること

高次脳機能障害

著者の鈴木さんは、周りに孤独な当事者(高次脳や脳疾患者)がいる読者の方へ、お願いを書いています。

であれば、「助けてほしい」の声を待つのではなく、「大丈夫?」と聞くのでもなく、その人がしてほしいだろうことを黙ってやってあげてほしい。
なぜなら面倒くさい性格の僕たちは、「大丈夫?」と聞かれたら、大丈夫と答えてしまう。「何かしてほしいことある?」と言われたら「大丈夫自分でやれる」と言ってしまうのだ。だから、聞かずにやってほしい。

鈴木 大介 著:脳が壊れた . 新潮新書

鈴木さんは、周りの「お節介」に助けられたと記しています。

たたでさえ、家族に負担をかけてしまっていると感じている当事者は、なかなか助けて欲しいと言えません。

その当事者の声にならない想いを、感じて黙ってやってあげる。

特に大切なのは、「その人がしてほしいだろう」こと、です。

そのため、難易度は非常に高いです。

自分がしてあげたいことではなく、その人がしてほしいことをするわけなので。


きっと、反対意見もあると思います。

自分でできることは自分でしないと、良くならない。

もちろん、それも正しいです。

ただ、それが出来る状態(身体、精神、心理)でないのであれば、手を差し伸べてください。

その手によって、きっとその孤独な当事者の方は、救われます。

そして、手を差し伸べた後のほうが、きっと良くなります。

まとめ

脳卒中で高次脳機能障害になった鈴木さんの著書「脳が壊れた」から、臨床の現場で課題となる部分について、3つ紹介しました。

  • 失語症がなくても、言葉に出来ない苦しみがある
  • 退院の後が、最も苦しかった
  • 黙って、その人がしてほしいだろうことをやってあげる

この3つ以外にも、高次脳機能障害を抱える当事者の視点でたくさんの重要な気づきがあるので、興味がある方は読んでみてください。

夫婦で脳卒中、高次脳機能障害にどのように向き合い、すれ違ったかも詳細に書かれているので、悩んでいる当事者やご家族にとって参考になる部分は多いかと思います。

ついでに、理学療法士である私にとっても、多くの気づきがあったので、療法士の方にもオススメできます。

脳卒中に対するリハビリ体験

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